510 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:41:39 ID:Lkq
まさか平穏な日常がこんなにも呆気なく終わるものだなんて思いもしなかったわ。

俺の場合、勤務中にいきなり嫁の会社の社長夫人から電話が入ったのが修羅場の始まりだった。
嫁の会社とは関連だから一応顔見知りではあったけど、だからと言って特別に親しくしていたわけでもない。
それが会社に直接電話を入れて来るのだから、相当な事情があるのだろうという事だけは何となく察しがついた。
でもまさか嫁の浮気話だなんて思いもしなかったわ。
とにかく時間を作ってくれないかと言われ、慌てて(会社の)近所の喫茶店で話す事になったわけ。

のっけから何の挨拶もなしに茶封筒に入った調査報告書なるものを手渡された。
COPYと判が押してあったから多分複製だったんだろう。
時系列にしてプロの仕事らしく丁寧にファイリングされていた。
内容の全容が明らかになるに連れ、持つ手が震えだしたのを覚えてる。
心臓がバクバクして視界が急に狭くなった。
それでも俺は現実をなかなか受け容れられず、何度も車でホテルに入っていく写真の女が嫁である事を確認した。
内容的には嫁と社長の浮気は不定期で偶発的なものだということ。
年に3〜4回で常習的ではないということ。
途中の駅で待ち合わせ、社長の車でホテルへ行くというパターンが多いという事だった。
511 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:42:03 ID:Lkq
社長夫人は延べにして六年間も興信所の調査延長を余儀なくされたそうだ。
常習でない分、調査の裏づけに時間がかかったらしい。
具体的な金額は伏せるけど、都内で一軒家が建つぐらい調査費に突っ込んだというから凄い執念だと思う。
裁判沙汰になったとき言い訳できないように外堀を埋めたかったんだろうけど、慰謝料を考えたら完全に赤字だ。
俺に連絡してくれたのは俺嫁にも慰謝料を請求するつもりだから一応連絡してきてくれたんだそうだ。
でもその時は正直、慰謝料といわれても俺はピンとこなかった。

夫人は会社の上場祝賀パーティーでの会話で浮気を疑いだしたらしい。
ちなみにそのパーティは立食形式で俺も参加していた。
俺と嫁と社長と夫人で立ち話していたのだが、社長がその場を離れるときに俺に向かって
今日は二次会もあるから多分遅くまで嫁子さんをお借りする事になります的な事を言ったんだそうだ。
そのときに社長が(嫁に)アイコンタクトしたのを見て疑念を持ったと言うのだが、俺は全く覚えてない。
夫人に覚えていないかと聞かれたけど、正直俺は立ち話した事すらすっかり忘れてしまっていた。
ただ一つ、微かに思い出したのは随分前に一度、帰宅途中に自宅の最寄り駅付近で嫁が誰かの車の助手席に座っているのを偶然見かけた事がある。
俺は帰宅後それを嫁に問い質したのだが、他人のそら似で済まされてしまって、そこで話は終わってしまっていた。
夫人は報告書を捲りながら、ある時から嫁を降ろす場所が変わっている事を俺に示してくれた。
俺の記憶と整合性が取れていると言って彼女は意気込んだ。
しかし俺はまだ心の準備が出来ていなかった。
とにかく俺自身の身の処し方もあるから少し考えさせて欲しいと言ってそこで別れた。
夫人に報告書を持ち帰るよう言われたが、見つかったら困ると思い断った。
512 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:42:25 ID:Lkq
帰りの道中、家が近づくに連れて足取りが重くなった。
俺は最寄で見た車中の嫁の姿を必死に思い出そうとしていた。
どんな表情をしていたのか、運転席には誰が乗っていたのか、いくら記憶を辿ろうとしても駄目だった。
そのときはまさか嫁の浮気なんて疑念は微塵もなかったのだから無理もない。
帰宅すると娘が模試で初めて志望校合格圏に入ったのだと嫁が凄く喜んでいた。
嫁の表情からは罪悪感など微塵も感じられなかった。
俺が手渡された模試の結果に目を通していると、嫁に促された娘が照れくさそうに自室から出てきた。
俺は絶対に(志望校は)無理だと思ってたと言うと、嫁は頑張ったもんねと娘の肩を叩いた。
思春期ですっかり俺と会話を交わさなくなった娘はそれでも喜びの表情を隠さず、これから克服すべき点を饒舌に説明してくれた。
意気揚々と自室に戻っていく娘を見送りながら、こうやってどんどん子供は成長していっちゃうんだなと見当はずれな事を呟いた。
後たった五年で二十歳だと嫁が応えた。
娘の成人した姿を思い浮かべた。
例の一件が過ぎり複雑な胸中でいると、娘が出ていっても私が居るじゃないと言って背中を叩かれた。
嫁の表情に嘘はないように思えた。
いや、むしろ社長夫人が何らかの悪意を持っていて捏造した情報を俺に提供してきたのではという疑念さえ沸いてきた。
やっぱりあの報告書を貰っておけば良かったと後悔した。
513 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:42:51 ID:Lkq
結局、一人じゃ抱えきれずに俺がいつも頼りにしている親友に相談してみる事にした。
ちなみに親友は飛ぶ方の整備士をやっている。
アマチュア無線とドライブが趣味だが、基本的にそれ以外の物欲がなく、極めて質素な生活を送っている一風変わった奴だ。
独身で年収もそこそこ。
はっきり聞いた訳ではないが、多分800万ぐらいなのではないかと推察する。
恥ずかしながら母親が病床に伏している時、彼に金を無心した事がある。
嫌な顔一つ見せずに彼は無利子の無期限で決して少なくない金を貸してくれた。
もちろん完済しているが。

俺の説明をじっと聞いていた彼は自分は女の気持ちには疎いからアドバイスは出来ないと言った。
その代わりに興信所を運営している無線友達に会ってみてはどうかと薦められた。
俺は一応社長夫人の6年分の調書があるからと断った。
彼は、ならどうして訪ねてきたのかと言った。
その報告書で納得出来ないから来たのではないのかと言われ、返す言葉が無かった。

興信所を運営しているというその人は思っていたより年配だったが凄く親切に対応してくれた。
仮にその人をAさんとする。
Aさん曰く価値観や性癖は人それぞれなので不用意な助言はできないそうだ。
しかし浮気現場の会話からなら真偽を特定する事は可能だろうと言われた。
少なくとも俺の腹を決めるにはそれが一番ではないかと言われた。
盗聴ですかと俺は聞いた。
Aさんは隠す事無くそれを知るにはある一定の不法行為は不可避だと言った。
しかし本ケースの場合、逢引する場所がほぼ同じホテルである事から、準備はそう難しくないだろうと言われた。
514 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:43:53 ID:Lkq
ただそれには俺の協力も伴うし、下手をすれば訴えられる危険性も少なからずあるという。
金額は一回二百万。
ただし浮気当日だけの費用で良いという。
一瞬法外だと思ったが、不法性を考えれば適当な額の様にも感じた。
二百万なら辛うじて何とかなる額だ。
Aさんは俺に一つだけ条件を出した。
契約期間中は家庭内でいつもと同じ夫としての自分を演じきること。
会話もいつもと同じようにすること。
夜の回数も減らさないこと。
嫁の作った食事もきちんと取ること。
それと嫁の居場所を随時特定できる様に、携帯を15分ほど拝借させて欲しいということだった。
それだけ念を押され俺はその場を後にした。

一回目の浮気は二週間後に訪れた。
社長夫人から受けた報告では最短で三ヶ月のスパンと言われていたので完全に意表を突かれた。
携帯にAさんから連絡が入り、慌てて親友と待ち合わせ、ホテルへ直行した。
極度の緊張でアクセルを踏む足がおぼつかなくなり、察した親友が運転を代わってくれた。

部屋の一室を借り切った設備は盗聴ではなく紛れもなく盗撮用設備だった。
大型のモニターはまだ誰も居ないホテルの一室を映し出していた。
複数のカメラが設置してあるのか、画面は幾つかのアングルに分割されていた。
二百万の法外な契約料の意味をようやく理解した。
恐らくAさんはホテルのオーナーに話をつけていたのだろう。
口の中がカラカラに乾いて吐きそうになった。
もうすぐこのモニターの向こう側で嫁の浮気を目の当たりにするというのだから動揺するなという方が無理だった。
暫くしてAさんの携帯が鳴った。
Aさんは俺に向かって「奥さん今(ホテルに)入ったって」と小声で言った。
俺は胃液が逆流しそうになるのを辛うじて堪えながら妻達の入室を待った。
ドアノブが動き、カチャと乾いた音をがすると、ゆっくりとドアが開いた。
モニターに手を繋いで入室する二人の姿が映し出された。
もはや疑い様もなかった。
515 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:44:36 ID:Lkq
嫁と社長は寄り添う様に衣服を着たままベッドに横たわった。
二人は抱擁し合いながら何度かキスを繰り返した。
あまりの光景に眩暈がして気が遠くなった。
親友はそこで席を立ち、車で待ってると言って出て行った。
そっから先は完全に頭に血が昇って漠然としか覚えていない。
たぶん最初は会社の話とかしていた様な気がする。
はっきり覚えているのは行為の最中、社長が嫁に向かって何度も「愛してる?」と問いかけ、嫁に「愛してる」の言葉をいわせていた事ぐらい。
正直、これは相当精神的に堪えた。
頭に血が昇り過ぎたのか、激しい頭痛で卒倒しそうになった。
盗撮終了後、車に戻った疲労困憊の俺を見かねた友達が、ギブアップした方が良いんじゃないかと言ってきた。
金は友達が立て替えても良いとも言ってくれた。
しかし気持ちは有難いけどこっちも意地があった。
契約を延長することにして、その日はそれで終了した。

翌日社長夫人と会い、一年だけ時間の猶予が欲しいと頼んだ。
親権を取るためにいろいろ準備したいと説明したら彼女は凄く俺に同情して容認してくれた。

しかし問題はAさんに言われた何時も通りの自分を演じるという約束だった。
食事は無理に詰め込んで誤魔化したが夜の方はどうしようもなかった。
盗撮映像で見た嫁の「愛してる」の一言がどうしても脳裏を過ぎった。
それでもバイアグラで無理に起たせて事に及んだ。
xxの副作用なのか、行為の最中血流が乱れて激しい頭痛にみまわれた。
516 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:45:00 ID:Lkq
二度目の浮気は報告書通り三ヵ月後。
しかし残念ながら撮影は空振りに終わった。
使用したのがいつものホテルではなく、スタンバイが間に合わなかった。
しかし料金は5万で済み、安堵した事も付け加えておく。

それより問題は俺の健康状態だった。
さすがに精神的な支障をきたしだし、嫁がこさえた飯が喉を通らなくなった。
必然的に夜も完全に無理になった。
正直、会話をするのも億劫になった。
とにかく嫁と顔を合わせるのが嫌で、休日は一人で田舎へドライブに出かけ、そこで過ごすようになった。
嫁が欝を心配して病院に行ったらどうかと言ってきた。
まさか(お前の)せいだとも言えないので会社が忙しいからと言って誤魔化した。
どうしても無理ならあなた(俺が)会社を辞めても私の稼ぎで何とかするからと励まされた。
正直、少し意外だった。
多少の良心の呵責はあるのかもしれないと思った。
そのせいもあってか三回目の浮気の兆候は半年が過ぎてもなかなか現れなかった。
間もなく社長夫人との約束の一年が近づいて流石に焦りだした頃、ようやくAさんから連絡が入った。
今度は間違いなくいつものホテル行きそうだという。

一回目と同じ設備で埋め尽くされた部屋で嫁と社長が入室するのをじっと待ち続けた。
俺はこの一回で契約を終了しようと心に決めていた。
もう身が持たないからだ。
517 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:45:19 ID:Lkq
嫁と社長が入室してきた。
意外なことに、会話の冒頭は関係解消の話からだった。
俺に欝の兆候が出ていて心配だということ。
もしかしたら自分たちの関係がバレたのかもしれないという内容だったと記憶している。
しかし社長はバレる訳がないと一笑に付した。
仮に興信所に依頼したとしても半年に一度の関係を立証する事は不可能だと言いながら、慰める様に嫁を抱きしめた。
どうやら社長は奥さんが6年もかけて浮気を立証している事など微塵も疑っていない様子だった。
嫁は、もういい加減、良妻賢母を演じる事に疲れたと言った。
だから関係を解消したいと言った。

情けない事に俺は号泣してしまった。
俺と結婚してからの長い年月、良い嫁だと思っていたあの姿は全て演技だったのかと知った瞬間、我慢しても涙が止め処なく流れ落ちた。
子供と一緒に旅行に行ったあれも、俺の母親が逝ったときに泣いてくれたあれも、全ては演技だったのかと思うと騙され続けていた自分が途方もなく無価値な存在に思えてきた。

社長は仮にバレたとしても俺は嫁を捨てる事は出来ないだろうと言った。
常習ではないし、子供の養育を考えたら最終的に嫁の稼ぎを当てにせざるを得ないだろうと言った。
バレた時点で関係を解消すれば良い。
非を認め、ひたすら謝り倒せば再構築の道を選ぶに決まってると言いいながら、社長はさりげなく嫁の服を脱がしにかかった。
嫁子をここまでに育てたのは俺だと社長は言った。
同時に自分が耕した畑に自分の種を蒔いて何が悪いとも社長は言ったが、俺はその言葉の本当の意味を理解出来ていなかった。
途方もなく長い時間が流れた後、社長は自分の種をその畑とやらに放ち、モニター越しに意味を突き付けた。
俺は白濁色の種が映つしだされた所でギブアップし、契約は終了となった。
518 :不倫体験 2014/11/30(日) 18:45:39 ID:Lkq
余談でかなり昔の話になるが、夜分遅く帰ってきたきた嫁の寝床に潜り込んだ事がある。
その時ヒステリックに拒否された事を思い出した。
翌晩、昨日は精神的に疲れていたからごめんと謝りながら俺の寝床に入ってきたら忘れかけていた。
あれは社長の痕跡が残っていたからなのだろうと思い当たった。
俺はそうやって長きに渡って裏切られ続けてきたわけだ。

俺に同情してくれた親友が今日の料金は自分が立て替えてやると言ってくれた。
Aさんは、この動画はあくまで奥さんの浮気の真相を確かめる為に撮影されたものなので、譲渡する事はできないと言った。
不法性の高いものだから、俺がその映像をたてに嫁を脅す可能性を懸念したのだと思う。
当然のことだと思った。
事実、きっと俺はそうしていただろう。
Aさんは、しかしどうしても復讐しないと気が治まらないというなら連絡してきなさいと言った。
俺がどういう事ですか?と聞くと、内容は教えられないが、比較的安全な方法で精神的に追い込む事は可能だと言う。
しかしそれでも少なからずリスクを伴うからそれなりのモノは貰うと言われた。
俺は承知してその場で別れた。

翌日、社長夫人に例の調査報告書を提出してもらって構わないと連絡を入れた。
夫人は自分から先に話をつけさせて欲しいと言った。
俺はとりあえず彼女の動きを待った。
数日後、勤務中に夫人から携帯に連絡が入り、昨晩報告書を夫(社長)に見せた事と弁護士同伴で慰謝料の請求を行っている事を告げてきた。
少し胸がすく思いだった。